2019年04月30日

大手企業の取り組みに学ぶ〜これからの外食〜

 ぐるなび通信2019年5月号の巻頭特集「大手企業の取り組みに学ぶ〜これからの外食〜」に,私のインタビュー記事と解説が見開き2頁で掲載されました。掲載記事の要旨は次の通りです。
@これからの外食トレンドのキーワードは,専門店化(肉なら肉に特化する)・テイクアウト(席数に限定されない売上)・地域密着(来店頻度を高め常連化)である。
AITは目的ではなく手段であることを肝に銘じ,IT化を進める前にマネジメントと業務改善の素地を組織に根付かせなければいけない。
B外食の本質的価値は商品そのものだが,差別化のためには付加価値の源泉である接客を強化しなければならない。

 ご興味のある方は,お手元に「ぐるなび通信」をお持ちであればそれをご覧いただくか,以下リンク先から記事をお読みください。
https://prop-fc.com/pdf/gurunabi201905.pdf
https://pro.gnavi.co.jp/magazine/t_res/cat_2/a_3360/

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 それでは今月の外食チェーンの動向を見ていきましょう。2019年2月期の各社決算によると,外食チェーンは主要13社のうち増収増益・黒字化できたのは4社のみと苦戦を強いられているようです。吉野家HDは「ステーキのどん」など肉業態が苦戦,値上げに踏み切った壱番屋も原材料や人件費の上昇分を吸収しきれず営業減益,リンガーハットは値上げのマイナス影響からか客足が伸びず前年同月比で客数が9%減となっています。
 居酒屋業態の業況は更に厳しく,磯丸水産などを擁するクリレスHDは35%の営業減益,九州熱中屋などのDDホールディングスは4%の営業減益,アルコール業態はビール増税などの影響をもろに受けているような感があります(日経MJ:2019/4/26:P19)。

 そのような居酒屋業態の中でも,客単価2,000円強の「ネオ大衆」と呼ばれる業態は元気です。ネオ大衆の代表格は「串カツ田中」ですが,4月の日経夕刊には貫社長のインタビュー記事が5回に亘って掲載されました。また,3月にマザーズ上場を果たした「ダンダンダン酒場」のナッティースワンキーはフランチャイズ方式でチェーン展開を加速し,今後1年で100店体制とする計画です(日経MJ:2019/4/19:P13)。餃子は,外食業界における次のキラーコンテンツと目されており,今後の動向に注目したいところです。
 ところで私はこの半年,千葉方面にコンサルティング業務があり,そのついでに毎月2回ほど船橋で業務店調査をしてきました。船橋は大衆居酒屋業態の立ち並ぶ地域で,老舗の単店,地場チェーン,新興チェーン,全国チェーンと,様々な「ネオ大衆」業態を調査しました。その中で一番印象に残ったのは,一家ダイニングの「博多劇場」です。いつも私はクライアントに,「すべてのスタッフが一言でもいいからすべてのお客様とコミュニケーションするように」とアドバイスしています。私が思い描くそのような接客をしていたのが「博多劇場」で,まさに「わが意を得たり」でした。また最近市場浸透が著しい,販促とCRMの両面からの効果が期待できる「店舗クーポンアプリ」ですが,お客様が感じる最初の入会の壁をどのように払拭するかという取り組みも,大変評価できるものでした。ホール,厨房一体となったオペレーション,従業員のやる気を引き出す人気投票など,さすが上場には理由があると得心した次第です。

 その他,4月の話題としては特定技能研修でしょう。介護・飲食などの単純労働に従事する外国人労働者を,2019年4月から5年間で最大34万人受け入れようとして制定された施策です。実施された第1回目には応募者が殺到し,情報開示や受け入れ態勢の面で未整備な面が浮き彫りになりました。外食チェーン各社の外国人労働者への期待は大きく,円滑な運用に向けた早急な対応が望まれます(日経夕刊:2019/4/13:P11他)。外食チェーン各社は,IT化による業務効率化や無人化と併せて,新たな人手を確保する施策にも積極的に取り組んでいく必要があるでしょう。

執筆:フランチャイズ,外食チェーン専門コンサルタント 山岡雄己

(無断掲載,転載を禁じます)

posted by 山岡雄己 at 06:00| Comment(0) | 時評
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